【排出事業者必見】産廃処理における委託契約書を徹底解説!
こんにちは、行政書士の橋本です!
今回は、 産業廃棄物の処理を委託する際に締結する委託契約書 についてお伝えします。
委託契約書は、排出事業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する際に作成する契約書です。
委託契約書の作成のポイントをわかりやすく解説していきます。
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委託契約書について
委託契約書とは
事業を営む場合、必ずと言っていいほど排出されるのが「産業廃棄物」です。
以下の条文にあるよう、廃棄物処理法では、産業廃棄物は排出した者が自ら処理しなければなりません。
(事業者の責務)
第3条 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年厚生省令第137号)
そうはいっても、自社で産業廃棄物を処理する施設を持っている事業者は、ほとんどいません。
そこで、他人に産業廃棄物の処理を委託するわけですが、その場合に口約束では適正に処理されるか不安ですよね。
ここで登場するのが、【委託契約書】です。
(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
第6条の2 法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年厚生省令第300号)
(中略)
4 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
この条文からもわかるとおり、委託契約は書面によって作成しなければなりません。なので、処理を委託する場合、口約束だけでは法律違反になります。
委託契約書の作成は義務
契約書は、簡単に言うと当事者間の約束事を証明するため作成された書面のことです。
廃棄物処理法では、【委託契約書】は作成する義務があります。
(事業者の処理)
第12条
(中略)
5 事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第14条第12項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。6 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年厚生省令第137号)
(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
第6条の2 法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第六条の四までにおいて同じ。)の運搬にあつては、他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
二 産業廃棄物の処分又は再生にあつては、他人の産業廃棄物の処分又は再生を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の処分又は再生がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
三 輸入された廃棄物(当該廃棄物を輸入した者が自らその処分又は再生を行うものとして法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入されたものに限る。)の処分又は再生を委託しないこと。ただし、災害その他の特別な事情があることにより当該廃棄物の適正な処分又は再生が困難であることについて、環境省令で定めるところにより、環境大臣の確認を受けたときは、この限りでない。
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)
他人に産業廃棄物の処理を委託する場合は、基準に従って委託する必要があります(法第12条第6項)。
その基準の中に、委託契約書を作成する義務(施行令第6条の2第4項)が含まれています。
委託契約は書面により行い、必ず作成する必要がある
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委託契約書の作成義務は誰にある?
これまでの条文を再掲するので、委託契約書の作成義務は誰にあるのか考えてみてください。
(事業者の責務)
第3条 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年厚生省令第137号)
(事業者の処理)
第12条
(中略)
5 事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第14条第12項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。6 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年厚生省令第137号)
(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
第6条の2 法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第六条の四までにおいて同じ。)の運搬にあつては、他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
二 産業廃棄物の処分又は再生にあつては、他人の産業廃棄物の処分又は再生を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の処分又は再生がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
三 輸入された廃棄物(当該廃棄物を輸入した者が自らその処分又は再生を行うものとして法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入されたものに限る。)の処分又は再生を委託しないこと。ただし、災害その他の特別な事情があることにより当該廃棄物の適正な処分又は再生が困難であることについて、環境省令で定めるところにより、環境大臣の確認を受けたときは、この限りでない。
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)
条文から以下のような流れになることがわかります。
①産業廃棄物は自ら処理が原則
↓
②他人に委託する場合は基準を守る
↓
③基準の中に委託契約書を作成する義務がある
この条文の主体は全て排出事業者にあることがわかります。よって、委託契約書の作成は排出事業者にあります。
委託契約書は、排出事業者の作成義務
委託契約書に記載するべき事項
それでは、委託契約書には何を着さすればいいのでしょうか。こちらも条文を見ていきましょう。
(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
第6条の2 法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年政令第137号)
(中略)
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
ホ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
ヘ その他環境省令で定める事項
(委託契約書に添付すべき書面)
第8条の4 令第六条の二第四号(令第六条の十二第四号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める書面は、次の各号に掲げる委託契約書の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 産業廃棄物の運搬に係る委託契約書
二 産業廃棄物の処分又は再生に係る委託契約書(委託契約に含まれるべき事項)
第8条の4の2 令第六条の二第四号ヘ(令第六条の十二第四号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)
一 委託契約の有効期間
二 委託者が受託者に支払う料金
三 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その事業の範囲
四 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
五 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本産業規格C〇九五〇号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項
(1) 廃パーソナルコンピュータ
(2) 廃ユニット形エアコンディショナー
(3) 廃テレビジョン受信機
(4) 廃電子レンジ
(5) 廃衣類乾燥機
(6) 廃電気冷蔵庫
(7) 廃電気洗濯機
ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨
ヘ その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
七 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項
八 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
九 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項
条文では、少しわかりづらいので記載事項をまとめます。
■収集運搬・処分共通の必須8項目
1 委託する産業廃棄物の種類及び数量
2 委託契約の有効期間
3 委託者が受託者に支払う料金
4 受託者が許可を受けた事業範囲
5 委託する産業廃棄物の処理のために必要な情報
6 委託契約の有効期間中に5の情報に変更が生じた際の伝達方法に関する事項
7 委託業務終了時の委託者への報告に関する事項
8 契約解除時の未処理産業廃棄物の取扱いに関する事項
■収集運搬のみに記載する項目
・運搬の最終目的地の所在地
・積替保管の際の積替保管場所の所在地・産廃の種類・積替保管上限に関する事項
・安定型産廃5品目の積替保管を行う際は、積替保管場所で他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
■処分のみに記載する項目
・処分又は再生場所の所在地・処分又は再生方法・施設の処理能力
・最終処分場所の所在地・処分方法・施設の処理能力(中間処理を委託する場合)
・輸入廃棄物の場合は、その旨
委託契約書には法定された記載事項がある
受付時間:9:00〜20:00 [土日祝除く]
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委託契約書の注意点
最後に委託契約書の注意点を確認していきましょう。
三者契約の禁止
まず初めに三者契約の禁止です。三者契約とは、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の三者で契約を締結することです。
廃棄物処理法では、この三者契約が禁止されており、二者契約が必須です。
これは、廃棄物の処理責任が排出事業者にあり、委託する者をそれぞれ自ら選ばないといけないという大原則からこのような規定になっています。
ただし、処分業者が収集運搬も持っているなど許可を複数持った処理業者と収集運搬・処分のいずれも契約する場合は、問題ありません。
再委託の禁止
再委託とは、委託を受けた廃棄物の処理を、他人に再度委託することです。
再委託が重なることで安価で請け負った廃棄物を不法投棄したり、不適正処理を引き起こす原因となるため、再委託は認められません。
ただし、法に基づく再委託基準を満たす場合や受託業者が改善命令・措置命令を受けた場合のみ、再委託が認められます。
契約書は5年間保存
排出事業者は契約が終了した後も5年間、委託契約書を保管しなくてはなりません。
マニフェスト同様、契約が終わったからといって廃棄してはいけません。紛失しないよう適切な管理が必要です。
・三者契約、再委託は原則禁止
・契約書は5年間の保存義務
まとめ
今回は、産廃処理の委託契約書について説明しました。ポイントは、
・委託契約書は書面により必ず作成しなければならない
・委託契約書の作成は、排出事業者に作成義務がある
・委託契約書には法定された記載事項がある
・三者契約、再委託は原則禁止されている
当事務所は、公務員として産業廃棄物収集運搬業等、廃棄物関連の審査・指導をしていた経験を活かし、お客様を全力でサポートします。
委託契約書やその他廃棄物処理法の手続きでお困りの場合は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。