廃棄物処理法における廃棄物の定義を理解する!
こんにちは。はしもと行政書士事務所の橋本です。
今回は、廃棄物処理法においてとても重要な「廃棄物の定義」についてお伝えします。
廃棄物と聞くとこんなイメージを持たれるのではないでしょうか。
いらなくなったものは全て廃棄物なんでしょ?
自分にとっていらないものは全て廃棄物でしょ!
それでは実際どうなのでしょうか。
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廃棄物と有価物について
廃棄物処理法は、その法律名のとおり「廃棄物」を規制する法律です。
(有害雑品は廃棄物では、ないですがその話は別の機会に・・・)
よって、廃棄物となるものとそうでないものを分けて考える必要があります。
まず初めに廃棄物とは、以下のような定義がされています。
(定義)
第2条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
よって、気体以外の汚物又は不要物は「廃棄物」とされています。
この定義に該当しないものが、人にとって価値の有る物ということで「有価物」に該当します。
勘がいい人は気づいたかもしれませんが、「廃棄物」となりうるものでも、これは「有価物」だ!
と抗弁して法の規制の対象外になることがあるのでしょうか。
その判断は、どのようになっているのでしょうか。
おから事件について
廃棄物を定義する上で、とても重要な最高裁判例が平成11年の「おから事件」です。
事案の概要は、とある豆腐会社から処理費用を徴収して「おから」の処理をしたX社が、
「おからは、廃棄物に該当しないから当社の行っている行為は、廃棄物処理の規制に触れない。」
と抗弁して、その廃棄物該当性が問われたものです。
たしかに「おから」は、スーパーなどで販売されており、食卓に並ぶこともあります。
実際に裁判所の判断は、どうだったのでしょうか。
その裁判の要旨は以下のとおりです。
一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成五年政令第三八五号による改正前のもの)二条四号にいう「不要物」とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要となった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である。
平成11年3月10日 最高裁判所第二小法廷
二 豆腐製造業者から処理料金を徴して、収集、運搬、処分した本件おからは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成五年政令第三八五号による改正前のもの)二条四号にいう「不要物」に当たり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成四年法律第一〇五号による改正前のもの)二条四項にいう「産業廃棄物」に該当する。
最高裁判例の全文をみたい方は、こちらからご確認ください。
ここで、とても重要なのが裁判所が示した廃棄物の定義は、「総合的に勘案する」と言ったところです。
これが、とても有名な、いわゆる「総合判断説」です。
次回は、この「総合判断説」について詳しく説明したいと思います。
廃棄物該当性は、「総合判断説」で判断する。
まとめ
今回は、廃棄物処理法における「廃棄物の定義」について説明しました。
廃棄物処理法の中で「廃棄物の定義」について理解することは非常に重要です。
廃棄物処理法の手続きでお困りの際は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。