廃棄物処理の二酸化炭素管理を要求される時代が来るかも?
世の中の流れが脱炭素、カーボンニュートラルを求められている中、政府は、建物に関する二酸化炭素量(CO2)の算出を建設業者に求める制度が新たに設けられるかもしれません。
建設業者なので、一見、産業廃棄物処理業者は関係ないように感じますが、「建物の建築から解体まで」要するに廃棄物の処理までを視野に入れているようです。
政府は、建物の建築から運用・解体までの間に排出される二酸化炭素(CO2)量の算出を建築主や建設業者に求める制度の検討に入った。環境に影響を与えるCO2の排出量を可視化することで、建築分野の脱炭素化を図る。3月までに制度化に向けたスケジュールを確認し、2026年通常国会への関連法案提出を目指している。
【出典】2025年1月6日 読売新聞 「解体までの建築物「生涯CO2」算出義務化へ、政府が制度検討」
建物の建築から運用・解体までに排出される二酸化炭素なので、主に以下時点で二酸化炭素の排出を予定しています。
①建物を建築する建材を製造する際に排出される二酸化炭素
②建物を建築に使用する重機から排出される二酸化炭素
③建物が完成した後の居住者のエネルギー利用による排出される二酸化炭素
④建物解体時に利用する重機の排出する二酸化炭素、廃棄物を運搬する車両から排出される二酸化炭素
記事にまとめられていた図は次のとおりです。
ここで、廃棄物処理業者にとって重要なのは、もちろん「建物が解体される際の廃棄物処理・解体」の部分です。廃棄物処理に係る輸送(収集運搬)や重機使用(解体、処分(?))などによりCO2が発生するとしています。
たしかに運搬車両のダンプや処分場内で使用するユンボやホイールローダーなどの重機は、電動化にはまだまだほど遠く、CO2を排出する原因となっています。
この記事を読んだ個人的な感想は、【二酸化炭素税】を導入する前の布石ではないかと感じました。今回のようなCO2排出量を可視化させる法律を制定し、課税対象となるCO2の把握方法の地盤固めを行っているのではないかと。
そうなった際、排出事業者(今回の場合、建設業者)は、廃棄物処理業者にCO2排出量の可視化を要望するかもしれません。また、処理業者を選ぶ際のポイントとして運搬から処分まで排出されるCO2をチェックするかもしれません。
廃棄物処理業者においても運搬車両や重機の電動化への移行や、処分における脱炭素に繋がる施設の導入などを先行して行った企業が排出事業者から選ばれる存在になるかもしれません。