太陽光パネルのリサイクル制度が義務化に!?
世界中が脱炭素の流れとなる中、日本も同様に再生可能エネルギーの普及に向けて、政府が補助金などにより後押しをしています。
再生可能エネルギーの代表的な存在として太陽光発電があります。日本国内では、10年ほど前から太陽光発電が急速に拡大しましたが、その寿命は約20~30年とされています。2030年代半ば以降に大量廃棄される太陽光パネルのリサイクル制度の確立に向けて、国が動き出したようです。
経済産業省は10月15日、太陽光発電設備の廃棄・リサイクル制度の義務化に関する有識者会議(太陽光発電設備リサイクル制度小委員会)の第3回会合を開催した。会合ではリサイクル制度の創設に関し、解体・撤去費用を負担する主体、再資源化・リサイクルを行う対象設備と、使用済み設備を引き取って再資源化・リサイクル(素材として再利用)する主体に関して方向性が示された。
【出典】2024年10月17日 日経BP 「非FIT・FIP事業者も撤去費用を負担、太陽光パネル・リサイクル制度で経産省」
太陽光パネルの構成は、発電部分のモジュールとそれを保護する強化ガラスやアルミフレームからできています。太陽光パネルによっては、モジュール部分に鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質が含まれることがあります。
この一体不可分となった太陽光パネルをばらして、それぞれの廃棄物ごとに適正にリサイクルされるルートの確立が重要となります。
(出典)環境省
私も公務員時代に太陽光パネルの処理施設を見学したことがありますが、パネルとアルミフレームは比較的簡単にばらせますが、ガラスとモジュール部分の剥離は刃物で薄く分離する必要があるため高度な処理が求められる印象でした。
現状、リサイクルの費用負担の部分は再エネ特措法の廃棄等費用積立制度によって、発電事業者が負担しているようです。このあたりは自動車リサイクル法のリサイクル券と似たような制度となっています。
また、使用済みパネルを引き取って素材ごとに分別して再資源化する主体は、家電リサイクル法のような「製造事業者」に課すと、20年後の廃棄時代に不在となる可能性があり、再資源化の実施に使用が出る恐れがあるとしています。
そこで、既存の中間処理業者などで太陽光パネルの高度な分解・再資源化技術を持った事業者を環境省が認定するような仕組みになる可能性が高いと考えられています。
まだ制度も確立していない段階ですが、必ず到来するとされる太陽光パネルの大量廃棄時代に向けて、処理技術を速やかに確立した事業者が市場を席捲し、全ての処理を担うことになるでしょう。
新たな法制度の確立時にはこのように他社と差別化を図るビジネスチャンスが隠されているかもしれません。