産業廃棄物収集運搬業の許可が取り消されたら
どんな許可においても、許可取得後に許可を取り消される場合が法律で定められています。
もちろん、産業廃棄物収集運搬業も許可であるため、取り消されるリスクがあります。
では、許可が取り消された場合、許可の再取得はあきらめるしかないのでしょうか。
許可取り消しを受ける場合を確認しながら対処法をご説明します。
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許可取消しとなる場合
産業廃棄物収集運搬業が取り消される場合は、主に以下の場合です。
・心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・禁固以上の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・廃棄物処理法の罪を犯し、禁固以上の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・浄化槽法の罪を犯し、禁固以上の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任)の罪を犯し、禁固以上の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるものの罪を犯し、禁固以上の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員等がその事業活動を支配する者
これらのいずれかに会社の役員が(個人であれば事業主)が該当した場合、許可取消しとなります。
ちなみに、「その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるもの」とは、以下の法律になります。
・大気汚染防止法
・騒音規制法
・海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
・水質汚濁防止法
・悪臭防止法
・振動規制法
・特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律
・ダイオキシン類対策特別措置法
・ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
いわゆる環境法の違反者は、廃棄物の許可を取得できないことになります。
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法第14条の3の2第1項各号による取消し
廃棄物処理法において、産業廃棄物の収集運搬業の許可を取り消す場合、次の条文を適用します。
(許可の取消し)
第14条の3の2
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
一 第14条第5項第2号イ(第7条第5項第4号ハ若しくはニ(第25条から第27条まで若しくは第32条第1項(第25条から第27条までの規定に係る部分に限る。)の規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)又は第14条第5項第2号ロ若しくはヘに該当するに至つたとき。
二 第14条第5項第2号ハからホまで(同号イ(第7条第5項第4号ハ若しくはニ(第25条から第27条までの規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)又は第14条第5項第2号ロに係るものに限る。)に該当するに至つたとき。
三 第14条第5項第2号ハからホまで(同号イ(第7条第5項第4号ホに係るものに限る。)に係るものに限る。)に該当するに至つたとき。
四 第14条第5項第2号イ又はハからホまでのいずれかに該当するに至つたとき(前三号に該当する場合を除く。)。
許可を取り消された場合、必ず「法第14条の3の2第1項第〇号」により取り消されることになります。
この取り消された条文のうち、【第〇号】の部分が非常に大事になります。
先ほど示した「許可取消しとなる場合」のいずれかに該当すると産業廃棄物収集運搬業の許可が取り消されるわけですが、取り消される重大さによって、適用される条文の【第〇号】が変わってきます。
【第〇号】には、1号から4号まであります。
1号から4号の何が違うかというと「処分の重大さ」によって変わると思ってください。
1号が一番重大な処分で、4号にかけて重大さが軽くなりますが、どの号でも取消しを受けることは変わりありません。
処分の重大さ : 1号 > 2号 > 3号 > 4号
許可取消しの連鎖
廃棄物処理法では、許可取消しの重大さによって許可取消しが「連鎖」することをご存知でしょうか。
1つの事例をもとに許可取消しの「連鎖」を解説します。
例 : X株式会社の役員であるAが廃棄物処理法違反(不法投棄)により罰金刑に科せられた。 |
X株式会社は、下図のとおり役員がA以外にBがおり、役員BはY株式会社の役員を兼務していたとします。
Aは、廃棄物処理法違反のうち不法投棄という重大な違反を犯したため、「法第14条の3の2第1項第1号」の許可取消しとなります。
1号取消しの場合、役員の欠格要件の該当により法人だけでなく所属する全ての役員も欠格要件の該当になります。
その結果、下図のとおり役員Bが所属している「Y株式会社」まで許可を取り消されることになります。
これが許可取消しの連鎖です。
なお、法改正により許可を取消された「Y株式会社」の役員は欠格要件に該当しないため、役員Cは欠格要件になりません。
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許可を取り直せる場合とは
それでは、許可を取り消された場合に再度許可を取り直せる場合はあるのでしょうか。
結論から言うと、先ほど説明した取消しのうち【第4号】は許可を取り戻せる場合があります。
その理由は、許可取消しのなかで処分の重大性が低く、欠格となった役員のみが5年許可をとれない事由に該当します。
そのため、当該役員を会社から抜けば、許可を取り消された同一の会社で許可を再度取得できます。
その他、1号から3号は許可取消しとなった時点で会社も5年間許可を取得できない事由に該当するため、再度許可を取得するには、新法人を立ち上げ欠格要件に該当しない役員をそろえた上で取得しなおす必要があります。
「法第14条の3の2第1項第4号」によって取り消された場合、同一法人で許可を取り直せる可能性がある!
廃棄物処理法の条文は、非常に難解なため許可取り消された場合の再取得については、行政書士などの専門家に依頼するのが良いでしょう。
不確かな知識で再申請すると再度欠格要件に該当して申請自体が不許可処分になり、手数料だけ支払って許可を取得できないという状況に陥ります。
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まとめ
今回は、産業廃棄物収集運搬業の許可が取り消された場合について解説しました。ポイントは、
・産業廃棄物収集運搬業の許可取消しは重大性によって異なる
・許可の取消しは連鎖することがある
・「法第14条の3の2第1項第4号」によって取り消された場合、同一法人で許可を取り直せる可能性がある
当事務所は、公務員として産業廃棄物収集運搬業や処分業などを審査していた経験を活かし、お客様を全力でサポートします。
産廃の許可、その他廃棄物処理法の手続きでお困りの場合は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。