産業廃棄物の処理が可視化されるよう電子マニフェストの項目追加を国が検討
平成28年に発生した食品廃棄物の転売事案をきっかけに、環境省は排出事業者責任の徹底を改めて周知するとともに必要な法改正や排出事業者向けのチェックリストを作成しました。
電子マニフェストに関して新たな法改正が検討されているようです。
廃棄物の適正処理の強化の取組として、排出事業者が再資源化を含めた最終処分までの処理フローを把握可能となるよう、情報処理センターと連携し、電子マニフェストの入力項目を追加するための廃棄物処理法施行規則の改正を行う。同時に、電子マニフェストの利便性向上のため、入力時の手間を軽減させるための改良も行う。
【出典】2024年12月13日 環境省 「中央環境審議会循環型社会部会(第58回)議事次第・配付資料」

電子マニフェストに限った話ではなく、紙マニフェストにも同様のことが言えますが、現状のマニフェストでは、排出事業者は委託した産業廃棄物が処理されたことしかわかりません。
今回検討されている法改正では、委託した産業廃棄物の全量がどのように処分されたかわかるような仕組み作りを検討しています。
自社の排出した産業廃棄物がどのように処理されてどれくらい再資源化(再利用)されたかを知ることができれば、排出事業者も廃棄物の処理に関し興味を持つであろうという考えだと推察します。
排出事業者の意識向上にはいいかもしれませんが、処理量を細かく報告することになる中間処理業者や最終処分業者にとっては、業務がさらに増えることになります。電子マニフェスト入力の手間を軽減させる改良を行うようですが、純粋に業務量が増加することに変わりはないでしょう。

そもそも電子マニフェストを利用している排出事業者はすでに意識が高い事業者であるため今回の改正では不適正処理や不法投棄の抑止にはならないと感じています。
それよりも紙マニフェスを交付する小規模な事業者から排出事業者責任の意識改革を始めた方がよろしいのではないでしょうか。
環境省には、現場の声を反映した法改正を行ってもらいたいものです。
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