産業廃棄物処分業の優良認定とは?条件や必要書類を簡単解説!
今回は、 産業廃棄物処分業の優良認定 についてお伝えします。
産業廃棄物処分業の許可は、原則5年の許可が不要されます。しかし、優良認定事業者は許可が7年になります。
それでは、優良認定にはどのような条件や書類が必要となるのでしょうか。
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優良認定制度とは
優良認定制度は、平成22年度の廃棄物処理法改正により創設された制度で、通常の許可基準よりも厳しい基準に適合した優良な産廃処理業者を認定する制度です。
優良な産廃処理業者を評価することで、産業廃棄物の処理の適正化を図ることを目的としています。
根拠条文について
優良認定制度は、法律の条文ではどこに記載されているのでしょうか。それは、以下の条文です。
(産業廃棄物処理業)
第14条
6 産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。7 前項の許可は、五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
少しわかりにくいので、政令をさらに確認しましょう。
第6条の11 法第十四条第七項の政令で定める期間は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める期間とする。
一 新たに法第十四条第六項の許可を受けた者 五年
二 法第十四条第七項の許可の更新を受けた者であつて、当該許可の更新に際し、従前の許可の有効期間(同条第八項に規定する許可の有効期間をいう。)において法第十四条の三の規定による命令を受けていないことその他の当該許可に係る事業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者として環境省令で定める基準に適合すると認められたもの 七年
三 法第十四条第七項の許可の更新を受けた者であつて、前号に掲げる者以外のもの 五年
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)
優良事業者になると、許可期間が7年間となります。その条文の中に「事業の実施に優れた能力及び実績を有する者として基準に適合すると認められたもの」とあるためこの内容が優良認定のことを示しています。
優良認定制度の申請先
優良認定制度を利用するには、許可を取得している都道府県もしくは政令市に申請をすることになります。
優良な産業廃棄物処理業者として認められるには、優良基準に適合する必要があります。優良基準の中には、一定期間にわたり取組を行わなければならないものも含まれているため、申請前には計画的に取組を行う必要があります。
それでは、優良基準について詳しく確認していくことにしましょう。
優良認定制度の基準
優良認定制度の基準である【優良基準】の条文を以下に示します。
(産業廃棄物処分業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者の基準)
第10条の4の2 令第六条の十一第二号の環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 従前の法第十四条第六項の許可に係る許可の有効期間(同条第八項に規定する許可の有効期間をいう。)又は当該有効期間を含む連続する五年間(同条第六項の許可を受けている期間に限る。)のいずれか長い期間において特定不利益処分を受けていないこと。
二 次表の上欄に掲げる事項に係る情報について、当該許可の更新の申請の日前六月間(申請者が優良産業廃棄物処分業者である場合にあつては従前の法第十四条第六項の許可を受けた日から当該申請の日までの間)、インターネットを利用する方法により公表し、かつ、それぞれ同表の下欄に掲げるところに従つて更新していること。
公表事項 更新すべき場合 イ 申請者が法人である場合には、当該法人に関する次に掲げる事項((1)、(4)又は(6)に掲げる事項を変更した場合にあつては、当該変更に係る履歴を含む。)
(1) 名称
(2) 事務所又は事業場の所在地
(3) 設立年月日
(4) 資本金又は出資金
(5) 代表者等の氏名及び就任年月日
(6) 事業(他に法第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の許可を受けている場合にあつては、これらの許可に係るものを含む。以下この表及び第八号において同じ。)の内容変更の都度((5)に掲げる事項については一年に一回以上) ロ 申請者が個人である場合には、氏名、住所及び事業の内容(事業の内容を変更した場合にあつては、当該変更に係る履歴を含む。) 変更の都度 ハ 事業計画(他に法第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の許可を受けている場合にあつては、これらの許可に係る事業に関するものを含む。)の概要 変更の都度 ニ 申請者が受けている法第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の許可(他にこれらの許可を受けている場合にあつては、当該許可を含む。)に係る第十条の二若しくは第十条の六又は第十条の十四若しくは第十条の十八に規定する許可証の写し 変更の都度 ホ 事業の用に供する産業廃棄物の処理施設に関する当該施設ごとの次に掲げる事項
(1) 設置場所
(2) 設置年月日
(3) 当該施設の種類
(4) 当該施設において処理する産業廃棄物の種類(当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨を含む。)
(5) 処理能力(当該施設が産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては、埋立地の面積及び埋立容量)
(6) 処理方式
(7) 構造及び設備の概要
(8) 当該施設について産業廃棄物処理施設の設置の許可を受けている場合には、当該許可に係る第十二条の五に規定する許可証の写し変更の都度 ヘ 事業の用に供する産業廃棄物の処理施設が設置されている事業場ごとの産業廃棄物の処理工程図 変更の都度 ト 情報公表日の属する月の前々月までの一年間(以下「直前一年間」という。)において事業者から引渡しを受けた産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理の行程(次に掲げる事項を含み、当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等に係るこれらの事項を含む。)
(1) 当該産業廃棄物の種類ごとの受入量
(2) 当該産業廃棄物の処分方法ごとの処分量
(3) 情報公表日の属する月の前々月の末日における当該産業廃棄物の保管量
(4) 当該産業廃棄物の処分(埋立処分及び海洋投入処分を除く。)後の産業廃棄物の持出先ごとの持出量及び当該持出先における当該産業廃棄物の処分方法
(5) 当該産業廃棄物を再生することにより得た物の持出先ごとの持出量及び当該持出先における当該物の利用方法一年に一回以上 チ 直前三年間の各月において事業者から引渡しを受けた産業廃棄物に関する次に掲げる事項(当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、当該石綿含有産業廃棄物、当該水銀使用製品産業廃棄物又は当該水銀含有ばいじん等に係るこれらの事項を含む。)
(1) 当該産業廃棄物の種類ごとの受入量
(2) 当該産業廃棄物の種類ごと及び処分方法ごとの処分量
(3) 当該産業廃棄物の処分(埋立処分及び海洋投入処分を除く。)後の産業廃棄物の持出先ごと及び処分方法ごとの処分量一年に一回以上 リ 直前三年間の事業の用に供する産業廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報(次の(1)から(9)までに掲げる当該施設の種類に応じ、当該(1)から(9)までに定める事項に限る。)
(1) 令第七条第三号、第五号、第八号、第十二号及び第十三号の二に掲げる施設(ガス化改質方式の焼却施設及び電気炉等を用いた焼却施設を除く。) 第十二条の七の二第一号ハ及びニに掲げる事項
(2) 令第七条第三号、第五号、第八号及び第十三号の二に掲げる施設(ガス化改質方式の焼却施設に限る。) 第十二条の七の二第二号ハ及びニに掲げる事項
(3) 令第七条第三号、第五号、第八号、第十二号及び第十三号の二に掲げる施設(電気炉等を用いた焼却施設に限る。) 第十二条の七の二第三号ハ及びニに掲げる事項
(4) 令第七条第十号の二に掲げる施設 第十二条の七の二第三号の二に掲げる事項
(5) 令第七条第十一号の二に掲げる施設 第十二条の七の二第四号ハからヘまでに掲げる事項
(6) 令第七条第十二号の二及び第十三号に掲げる施設 第十二条の七の二第五号ハからホまでに掲げる事項
(7) 令第七条第十四号イに掲げる施設 第十二条の七の二第六号ロからヘまでに掲げる事項
(8) 令第七条第十四号ロに掲げる施設 第十二条の七の二第七号ロからヘまでに掲げる事項
(9) 令第七条第十四号ハに掲げる施設 第十二条の七の二第八号ロからリまでに掲げる事項一年に一回以上 ヌ 直前三年間の各月における事業の用に供する産業廃棄物の焼却施設ごとの熱回収により得られた熱量(当該熱の全部又は一部を電気に変換した場合にあつては、当該電気の量及び当該熱量から電気に変換された熱量を減じて得た熱量)及び当該焼却施設において熱回収がされた産業廃棄物の量 一年に一回以上 ル 申請者が法人である場合には、直前三年の各事業年度における貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表 少なくとも定時株主総会で承認を受け、又は報告された都度 ヲ 事業者がその産業廃棄物の処分を申請者に委託するに当たつて支払う料金を提示する方法 変更の都度 ワ 業務を所掌する組織及び人員配置 変更の都度(人員配置については一年に一回以上) カ 産業廃棄物の処分を申請者に委託しようとする者に対して、申請者が当該産業廃棄物の処分(埋立処分及び海洋投入処分を除く。)後の産業廃棄物の持出先の氏名又は名称及び住所を開示することの可否 変更の都度 ヨ 事業の実施に関し生活環境の保全上利害関係を有する者に対する事業場の公開の有無及び公開している場合にあつては公開の頻度 変更の都度 三 その事業活動に係る環境配慮の状況が国際標準化機構が定めた規格第一四〇〇一号に適合している旨の認証を受けていること又はその事業活動に係る環境配慮の状況について一般財団法人持続性推進機構による認証を受けていること。
四 その使用に係る入出力装置が情報処理センターの使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)と電気通信回線で接続されていること。
五 申請者が法人である場合には、直前三年の各事業年度における自己資本比率が零以上であること。
六 申請者が法人である場合には、次のイ又はロのいずれかの基準に該当すること。
イ 直前三年の各事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が百分の十以上であること。
ロ 前事業年度における営業利益金額等が零を超えること。
七 申請者が法人である場合には、直前三年の各事業年度における経常利益金額等の平均額が零を超えること。
八 法人税等を滞納していないこと。
九 事業の用に供する特定廃棄物最終処分場について積み立てるべき維持管理積立金の積立てをしていること。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)
条文では、なかなか読み解くのが難しいと思いますので、表にすると以下のとおりです。
基 準 | 概 要 | |
1 | 遵法性 | 従前の産業廃棄物処理業の許可の有効期間又は当該有効期間を含む連続する5年間のいずれか長い期間において特定不利益処分を受けていないこと。 |
2 | 事業の透明性 | 法人の基礎情報、取得した産業廃棄物処理業等の許可の内容、廃棄物処理施設の能力や維持管理状況、産業廃棄物の処理状況等の情報を、一定期間継続してインターネットを利用する方法により公表し、かつ、所定の頻度で更新していること。 |
3 | 環境配慮の取組 | ISO14001、エコアクション 21 等の認証制度による認証を受けていること。 |
4 | 電子マニフェスト | 電子マニフェストシステムに加入しており、電子マニフェストが利用可能であること。 |
5 | 財務体質の健全性 | ①直前3年の各事業年度における自己資本比率が零以上であること。 ②次のイ又はロのいずれかの基準に該当すること。 イ 直前3年の各事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が 10 パーセント以上であること。 ロ 前事業年度における営業利益金額等が零を超えること。 ③直前3年の各事業年度における経常利益金額等の平均値が零を超えること。 ④産業廃棄物処理業等の実施に関連する税、社会保険料及び労働保険料について、滞納していないこと。 |
表を見ても分かるとおり、優良基準はかなりハードルが高いため、1日や2日で取得できるものではありません。
取得を決めたら、早めの準備が必要となります。
簡単に優良認定を受けるための必要書類を以下に記載します。
添付書類 | |
1 | 特定不利益処分を受けていない旨の誓約書 |
2 | インターネットを利用する方法により公表・更新している情報に係る基準に適合していることを証する書類((1)又は(2)のいずれか) (1)基準に適合するインターネット画面を印刷したものであって、申請時点のもの及び公表開始時点のもの並びに主要な更新履歴(いずれも日付が明示されたものに限る。) (2)(公財)産業廃棄物処理事業振興財団が作成した事業の透明性の基準適合証明書(※) |
3 | ISO14001規格又はエコアクション21ガイドライン又はエコアクション21ガイドラインと相互認証された規格等に基づく認証書の写し (エコアクション21ガイドラインと相互認証された規格等に基づく認証については、認証書の写しのほか相互認証の個別確認を受けたことを証する書類が必要) |
4 | 電子マニフェストシステム(JWNET)加入証の写し |
5 | 法人税等の滞納がないことを証する書類(注2) ・ 国税(法人税及び消費税)については税務署が、道税(道民税、事業税、不動産取得税及び地方消費税)及び市町村税(市町村民税、事業所税、固定資産税及び都市計画税)については各地方自治体が発行する納税証明書又はその写し ・ 社会保険料については、年金事務局が発行する納入証明書又はその写し ・ 労働保険料については、地方労働局が発行する納入証明書又はその写し |
優良認定制度のメリット
厳しい優良基準を満たし、優良な産業廃棄物処理業者と認められた場合、どのようなメリットがあるのでしょう。それは、主に以下の内容になります。
・許可の有効期限が7年となる
・許可証に優良な産業廃棄物処理業者である旨が記載される
・優良認定業者の情報は、インターネットで公表されるため排出事業者が検索しやすくなる
・環境意識の高い排出事業者に対し、優良認定事業者であることをアピールできる
一番大きいメリットは、やはり許可有効期限の延長だと思います。期限が延長されることで更新許可申請の手間が減り、事業へ注力できます。
また、近年の環境意識の高まりから産業廃棄物の適正処理やリサイクルに積極的に取り組む企業が増えています。そのことから、優良事業者へ処理を依頼する排出事業者が増えると考えられます。
多くの許可業者が存在する中で、優良認定という他社より強いメリットを示すことができれば多くの依頼獲得につながるのではないかと思われます。
優良認定の申請を行政書士に依頼するメリット
優良認定のお話をしましたが、行政書士に手続きを依頼するメリット・デメリットを解説します。
メリット
主なメリットは、5つあると考えています。
- 本業に専念できる
- 気軽に相談できる
- 役所に行く手間、時間を省ける
- 他士業の紹介を受けることができる
- 次回の更新手続きまでサポートしてもらえる
行政手続きは、なかなかめんどくさいものです。色々と書類を集める必要があるし、役所に出向かないといけない。そこをサポートするのが行政書士の役割です。また、一度繋がれば気軽に相談できるパートナーとなります。
デメリット
次に、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
- 費用がかかる
- 行政書士によっては専門外で時間がかかる
やはり、一番は費用面の問題が大きいと思います。申請手数料に加え、行政書士に支払う報酬がかかってきます。また、専門としていない行政書士に依頼すると余計に時間がかかったりします。
メリット、デメリットをお伝えしましたが、優良認定は、普通の申請よりもハードルが高く、要件も多いため、行政書士に依頼するほうが速やかに取得できると思います。
まとめ
今回は、産業廃棄物処分業の優良認定制度について説明しました。ポイントは、
・優良認定を取得するには事前の準備が必要
・優良認定業者となると許可期限が7年になる
・行政書士に依頼することで困難な書類の作成もサポートしてもらえる
当事務所は、公務員として産業廃棄物処分業の審査をしていた経験を活かし、お客様を全力でサポートします。
産業廃棄物処分業許可の更新手続きやその他廃棄物処理法の手続きでお困りの場合は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。