【元公務員が解説】産業廃棄物とは?種類を一覧にして徹底解説!
こんにちは、行政書士の橋本です!
今回は、基本に戻って 産業廃棄物の種類 についてお伝えします。
事業活動を行う上で必ず排出される産業廃棄物ですが、その種類や定義を理解していないと処理を委託できません。それでは、産業廃棄物の種類を一覧にして解説していきます。
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産業廃棄物の定義
まずは産業廃棄物の定義について確認しましょう。法律では、どのように定義されているのでしょうか。
(定義)
第2条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
3 この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)(以下、略)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
法第2条に定義がありますが、まず【廃棄物】の定義があり、そこから【一般廃棄物】や【産業廃棄物】の定義が記載されている構成になっています。廃棄物は、固形状又は液状のものと定義されているので、気体は廃棄物になりません。
今回着目する【産業廃棄物】のポイントは、
・事業活動で伴った廃棄物
・燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類
・その他政令で定める廃棄物
・輸入された廃棄物並びに本邦に入国するものが携帯する廃棄物
この条文の中で、産業廃棄物として列挙されている種類は、6種類しかありません。その他は以下の政令に示されています。
(産業廃棄物)
第2条 法第二条第四項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)
一 紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る。)
二 木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
三 繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
四 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二 と畜場法(昭和二十八年法律第百十四号)第三条第二項に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第一項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七十号)第二条第六号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号に規定する食鳥に係る固形状の不要物
五 ゴムくず
六 金属くず
七 ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず
八 鉱さい
九 工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
十 動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
十一 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
十二 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)第二条第二項に規定するばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法第二条第二項に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第一項に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)を発生し、及び大気中に排出するものに限る。)又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて、集じん施設によつて集められたもの
イ 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第七号及び第十号、第三条第三号ワ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ロ 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(1)、第八号及び第十一号、第三条第二号ホ及び第三号ヘ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ハ 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハ及び別表第五を除き、以下同じ。)
ニ 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ホ 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ヘ 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(5)を除き、以下同じ。)
ト 前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで及び第五号から第九号までに掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)
十三 燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで、第五号から第九号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)又は法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて、これらの廃棄物に該当しないもの
条文で確認すると文字が多すぎて複雑なので、表で確認していきましょう。
産業廃棄物の種類と例
それでは、産業廃棄物の種類とその例を表にして確認していきましょう。
No. | 産業廃棄物の名称 | 例 |
1 | 燃え殻 | 石炭がら、灰かす、廃棄物焼却灰、炉清掃掃出物、コークス灰、重油燃焼灰、焼却灰、すす、廃カーボン類、廃活性炭等 |
2 | 汚泥 | 有機性汚泥(製紙スラッジ、下水汚泥糊かす、うるしかす)、無機性汚泥(浄水場沈でん汚泥、中和沈でん汚泥、凝集沈でん汚泥、めっき汚泥、砕石スラッジ、建設汚泥等) |
3 | 廃油 | 潤滑油系廃油、切削油系廃油、洗浄油系廃油、絶縁油系廃油、動植物油系廃油(魚油、 鯨油、なたね油、やし油、ひまし油、大豆油、豚脂、牛脂等)、廃溶剤類(シンナー、ベンゼン、トルエン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、アルコール等)、タールピッチ類(タールピッチ、アスファルト、ワックス、ろう、パラフィン等) |
4 | 廃酸 | 硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸等、ギ酸、酢酸、クエン酸等、アルコール発酵廃液、アミノ酸発酵廃液、エッチング廃液、染色廃液 |
5 | 廃アルカリ | 洗びん用廃アルカリ、石炭廃液、廃灰汁、アルカリ性めっき廃液、金属せっけん廃液、廃ソーダ液、ドロマイト廃液、アンモニア廃液、染色廃液、脱脂廃液(金属表面処理)、写真現像廃液、か性ソーダ廃液、硫化ソーダ廃液、けい酸ソーダ廃液、か性カリ廃液 |
6 | 廃プラスチック類 | 廃ポリウレタン、廃スチロール、廃農業用フィルム、各種合成樹脂系包装材料のくず、合成紙くず、廃写真フィルム、廃合成皮革、合成繊維くず、電線の被覆くず、廃タイヤ、ライニングくず、廃ポリマー、塗料かす、接着剤かす、合成ゴムくず |
7 | ゴムくず | 切断くず、裁断くず ※廃タイヤは合成ゴムのため廃プラスッチク類 |
8 | 金属くず | 鉄くず、空かん、古鉄・スクラップ、ブリキ、とたんくず、箔くず、鉛管くず、銅線くず、鉄粉、バリ、切断くず、切削くず、研磨くず、ダライ粉、半田かす、溶接かす等 |
9 | ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 1)ガラスくず 廃空ビン類、板ガラスくず、アンプルロス、破損ガラス、ガラス繊維くず、カレットくず、ガラス粉 2)コンクリートくず 製造工程等で生じるコンクリートブロックくず、インターロッキングくず、石膏ボードくず 3)陶磁器くず 土器くず、陶器くず、せっ器くず、磁器くず、レンガくず、耐熱レンガくず、せっこう型、タイルくず等 |
10 | 鉱さい | 高炉、平炉、転炉、電気炉からの残さい(スラグ)、キューボラ溶鉱炉のノロ、ドロス・カラミ・スパイス、ボタ、不良鉱石、粉炭かす、鉱じん、鋳物廃砂、サンドブラスト廃砂(塗料かす等を含むものを除く) |
11 | がれき類 | コンクリート破片、レンガ破片、ブロック破片、石類、瓦破片、その他これに類する各種廃材等 |
12 | ばいじん | 電気集じん機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダスト、サイクロン捕集ダスト等 |
13 | 紙くず | 印刷くず、製本くず、裁断くず、旧ノーカーボン紙等、建材の包装紙、板紙、建設現場から排出される紙くず等 |
14 | 木くず | 建設業関係の建物、橋、電柱、工事現場、飯場小屋の廃木材(工事箇所から発生する伐採材や伐根を含む)、木材、木製品製造業等関係の廃木材、おがくず、パーク類、梱包材くず、板きれ、廃チップ等 |
15 | 繊維くず | 木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、不良くず、落ち毛、みじん、くずまゆ、レーヨンくず等、建設現場から排出される繊維くず、ロープ等 |
16 | 動植物性残さ | 魚・獣の骨、皮、内臓等のあら、ボイルかす、うらごしかす、缶づめ、瓶づめ不良品、乳製品精製残さ、卵から、貝がら、羽毛等、ソースかす、しょうゆかす、こうじかす、酒かす、ビールかす、あめかす、海苔かす、でんぷんかす、豆腐かす、あんかす、茶かす、米・麦粉、大豆かす、果実の皮・種子、野菜くず、薬草かす、油かす |
17 | 動物系固形不用物 | と蓄場において処分した獣蓄、食鳥処理場において処理した食鳥 |
18 | 動物のふん尿 | 牛、馬、豚、めん羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等のふん尿 |
19 | 動物の死体 | 牛、馬、豚、めん羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、兎及び毛皮獣等の死体 |
20 | 上記19種類の産業廃棄物を処分するために処理したもの | 有害汚泥のコンクリート固形物焼却灰の溶融固形化物 |
この20種類に該当する場合、産業廃棄物に該当することになります。法律上の品目名ではなかなか産業廃棄物の種類がわかりにくいと思います。
この表の例を参考に産業廃棄物のどの種類に該当するか確認を行ってみてください。
特定の事業活動において産業廃棄物となるもの
20種類の産業廃棄物をあげましたが、この中で特定の事業活動においてのみ産業廃棄物に該当するものがあります。以下のような例です。
(例)製紙工場から排出された「紙くず」 → 産業廃棄物
オフィスから排出された「紙くず」 → 一般廃棄物
要するに、大量に排出される業種のみ産業廃棄物とし、それ以外は一般廃棄物として処理するようになっています。先ほど示した産業廃棄物の表のNo.13〜19が特定の事業活動において産業廃棄物となるため、以下に産業廃棄物の種類と業種を示します。
No. | 産業廃棄物の種類 | 業 種 |
13 | 紙くず | (1)建設業に係るもの (工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る) (2)パルプ、紙又は紙加工品製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行)に係るもの (3)出版業(印刷出版を行う者に限る)に係るもの (4)製本業及び印刷物加工業に係るもの (5)PCBが塗布され、又は染みこんだもの |
14 | 木くず | (1)建設業に係るもの (工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る) (2)木材又は木製品製造業 (家具の製造業を含む)に係るもの (3)パルプ製造業 (4)輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの (5)貨物の流通のために使用したパレット (パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む)に係るもの (6)PCBが染みこんだもの |
15 | 繊維くず | (1)設業に係るもの (工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る) (2)繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)に係る天然繊維くず (合成繊維は廃プラスチック類) (3)PCBが染みこんだもの |
16 | 動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物 |
17 | 動物系固形不用物 | と蓄場においてとさつし、又は解体した獣蓄及び食鳥処理場において食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物 |
18 | 動物のふん尿 | 畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物のふん尿 |
19 | 動物の死体 | 畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物の死体 |
特に注意が必要な産業廃棄物っは、紙くず、木くず、動植物性残さです。
・紙くず→オフィスから排出する場合は一般廃棄物
・木くず→解体以外で業務用家具を排出する場合は一般廃棄物
・動植物性残さ→魚市場、飲食店等から排出される場合又は厨芥類は一般廃棄物
飲食店を営む方の調理場から排出される食品残さは、【一般廃棄物】に該当するので、産業廃棄物処理業者に委託することはできません。
産業廃棄物の判断方法
ここまで産業廃棄物の種類や例を解説してきましたが、そもそも廃棄物かどうかの判断はどのように行われているのでしょうか。
廃棄物該当性の判断は非常に難しく、本来廃棄物である物を有価物と称し、法の規制を免れようとする事案があります。そこで、現在では最高裁の示した「総合判断説」を用いて客観的に廃棄物該当性を判断する方法を用いています。
総合判断説については、以下の記事にて詳細に解説しているためご確認ください。
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まとめ
今回は、産業廃棄物の種類について説明しました。ポイントは、
・廃棄物とは、固形状及び液状の不要物
・産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される法律に示された20種類の廃棄物
・特定の事業活動においてのみ産業廃棄物に該当するものがある
・産業廃棄物の判断は、総合判断説により確認する
当事務所は、公務員として産業廃棄物収集運搬業の審査をしていた経験を活かし、お客様を全力でサポートします。
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