産廃収集運搬業における積替え保管とは?許可要件と取得方法を徹底解説!

こんにちは。はしもと行政書士事務所の橋本です。

今回は、 産廃収集運搬業の積替え保管 についてお伝えします。

産業廃棄物収集運搬業の中でも、積替え保管の許可は許可を取得するハードルが上がります。

では、積替え保管の許可を取得する際の許可要件と取得方法について確認しましょう。

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積替え保管について

産廃収運

上記図のように原則、産業廃棄物は、排出場所から処分場まで直送する必要があります。

しかし、処分場が遠方であったり、排出される廃棄物の中から有価物を取り出すためには、排出された産業廃棄物を一度運搬車両からおろして選別する必要があります。

このように、排出された産業廃棄物を処分場へ運搬する途中の過程で車両からおろす場合に、積替え保管の許可が必要となります。

産業廃棄物の運搬途中で処分場の営業時間外となってしまったり、遠方で一時高速道路のパーキングで一晩を過ごさないといけない場合は、産業廃棄物を運搬車両からおろさないので積替え保管の許可は不要となるケースが多いです。

なお、行政によって取り扱いが異なるケースがあるので、事前に管轄の行政機関に問い合わせて確認することをおすすめします。

積替え保管のイメージは、下図のとおりです。

産廃収運積替え保管

積替え保管の許可要件

積替え保管の許可を取得するには、産業廃棄物収集運搬業の許可に加え、施設の要件を満たす必要があります。

廃棄物処理法施行規則では以下のように定められています。

(産業廃棄物収集運搬業の許可の基準)
第10条 法第14条第5項第1号(法第14条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
 施設に係る基準
  産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の
   運搬施設を有すること。
  積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しない
   ように必要な措置を講じた施設であること。

 申請者の能力に係る基準
  産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
  産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第315号)

条文を見てもわかるように詳細な構造の基準などはどこにも記載がありません。

そのため、各自治体によって独自の基準等があるため事前の十分な確認が必要です。

施設を作るにあたって主に注意するべき点は、次のとおりです。

  • 保管場所の周囲に囲いを設ける。
  • 産業廃棄物の種類によって、地下浸透しない措置(コンクリート敷設、容器保管)を講じる。
  • 廃油等の事業場外部へ流出のおそれのある産業廃棄物を保管する場合、油水分離槽を設ける。

それでは、実際に許可を取得するにはどのような流れになっているのでしょうか。

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積替え保管の許可取得の流れ

積替え保管施設を設置する流れは以下のとおりです。

1 積替え保管施設を設置する用地の選定

施設の設置を検討する前に、用地の確保をしなければなりません。

まずは、予定としている土地を購入する前にその土地で積替え保管施設を設置できるか確認が必要です。

廃棄物処理法以外の他法令の関係で設置できなくなったり、許可を取得できない可能性があるため行政への事前確認は必須です。

まず土地を購入する前に、管轄の自治体に確認しましょう。

2 事業の計画を検討

施設を設置できる土地が確保できたら、次に、どのような産業廃棄物をどれだけの量、どのように保管するのか決めましょう。

産業廃棄物の保管量は、運搬車両の台数によります。

また、容器保管なのか野積みなのか産業廃棄物ごとに検討します。

3 許可を申請する管轄の自治体へ相談

ある程度の計画が決まったら、自治体へ相談しましょう。

自治体独自の決まりなどにより色々と異なると思いますので、行政の指示に従って対応しましょう。

ただし、許可基準にないことを厳しく言われるようであれば十分に確認する必要があります。

内容によっては、施工に高額な費用がかかったりすることもあるので、指導されることに関して疑問をもつことも大切です。

4 積替え保管施設の設計・施工

保管する産業廃棄物の種類や保管方法が決まったら、施設の設計施行を行います。

野積みであれば、保管基準どおりの高さや量であることを証明したり、廃棄物の荷重に耐えられる壁をつくるのであればその根拠などを設計します。

設計が決まったら、図面どおり施工します。

5 申請書の作成・提出

設計のとおり施工が完了したら、申請書を作成し、提出しましょう。

自治体によっては、申請書を提出する前に条例などで事前の手続きを設けている場合もあるので、提出前に確認が必要です。

たとえば、北海道庁の許可であれば、事前手続きはありませんが、兵庫県庁は事前に地元への説明会や事前協議書の縦覧などが必要になります。

6 行政の現場確認

申請書を提出後、施設が申請書どおりに施工されているか行政が現場確認を行います。

ここでは、床面や壁の施工方法、保管場所の区画の大きさなどの確認があります。

これをクリアすれば、あとは許可証の発行を待つのみです。

7 許可証の交付

行政の審査で特に問題がなければ、許可証が発行されます。

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積替え保管許可取得時の注意点

積替え保管施設の設置の流れを説明しましたが、改めて注意する点を示します。

土地を購入する前に行政へ確認

施設が設置できそうな土地があれば買いたくなるところですが、ちょっと待ってください。

本当にその土地で積替え保管施設を設置することができるのでしょうか。

産業廃棄物処理施設ほどではなくても、他法令の規制で設置できなくなったりする可能性があるため、土地を購入する前に行政への確認が必須です。

初期投資は、慎重にすることをおすすめします。

施設を設計した段階で行政へ確認

次に、保管する産業廃棄物の種類や量から施設の設計を行いますが、ここでも注意点があります。

設計した施設で、本当に許可を取得できるのか十分な確認が必要です。

事前の確認を怠ると無駄に費用をかけて施工してしまったり、足りない部分があると追加で費用がかかったりします。

申請書の作成前に事前の手続き条例がないか確認

行政機関によっては施設の設置前に地元との合意形成を図る条例が定められている場合があります。

事前の手続きがある場合、許可取得まで長い期間を要することがあるので、注意が必要です。

まとめ

今回は、積替え保管の許可要件と許可取得の方法について説明しました。

産業廃棄物を適切にリサイクルしたり、処分するには積替え保管施設の存在が重大です。

産業廃棄物収集運搬業許可の積替え保管でお困りの際は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。