産業廃棄物処分業者が遵守すべき基準について
こんにちは。はしもと行政書士事務所の橋本です。
今回は、 産業廃棄物処分業者が遵守すべき基準 についてお伝えします。
前回のブログで排出事業者や収集運搬業者の基準を説明しましたが、処分業者にも廃棄物処理法でルールが決められています。
さて、どのようなルール(基準)があるのでしょうか。
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保管基準
まずは、「保管基準」です。
産業廃棄物を処分する場合は、産廃を処分するまでの間、事業場内に保管する必要があります。
その保管する産業廃棄物の量を規制していないと、事業場内から産廃がはみ出る可能性があります。
そこで、保管基準が法律に決められています。
まず、保管場所に関する基準は以下のとおりです。
- 保管場所の周囲に囲いが設けられていること。
- 直接囲いに負荷がかかる構造である場合は、荷重に対して構造耐力上安全で変形・破損のおそれがないこと。
次に保管量に関する基準は以下の表のとおりです。
廃棄物の種類 | 保管上限 | 備 考 |
木くず・コンクリート破片 | 処理施設の1日の処理能力×28 | ・建設業に係る産業廃棄物(工作物の新築、改築もしくは除去に伴って生じた木くず、コンクリートの破片であって、分別されたものに限る) ・再生を行う処理施設において、再生のために保管する場合に限る。 |
アスファルト・コンクリートの破片 | 処理施設の1日の処理能力×70 | ・建設業に係る産業廃棄物(工作物の新築、改築もしくは除去に伴って生じたアスファルト・コンクリート破片であって、分別されたものに限る) ・再生を行う処理施設において、再生のために保管する場合に限る。 |
その他の産業廃棄物 | 処理施設の1日の処理能力×14 | 建設業に係るものであって分別されないもの |
最後に、積み上げ高さの制限です。 ※屋外で容器に入れずに保管する場合のみ
- 廃棄物が囲いに接しない場合 → 囲いの下端から勾配50% 以下
- 廃棄物が囲いに接する場合 → 囲いの内側2m、囲い高さより50cm 以下2m以上内側は、2m線から勾配50% 以下
図にすると以下のイメージです。
表示の義務
次に、表示の義務です。
必要な表示は、排出事業者の義務でも説明しました保管場所の掲示です。
よく中間処理業者をしている旨を掲示している事業者もいますが、法律では特に決められていません。
保管場所の掲示板のサイズは、縦60cm×横60cm以上です。
記載する文字の大きさやフォント、色に指定はありませんが、記載すべき事項は以下の通りです。
- 産業廃棄物の保管場所である旨
- 保管されている産業廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含含有ばいじん等が含まれる際はその旨)
- 保管場所の管理者の氏名または名称と連絡先
- 最大保管高さ(屋外で容器を用いずに保管する場合)
掲示板は以下のようなイメージです。
中間処理の際の基準
次に、中間処理の際の基準です。
主なものは以下のようなものです。(政令第6条、第6の5)
- 中間処理は、産業廃棄物が飛散し、及び流出しないようにすること
- 中間処理は、悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障がないよう必要な措置を講じること。
- 中間処理のための施設を設置する場合、生活環境上支障を生じるおそれのないような措置を講じること
また、処分方法によって基準が決められています。
処分方法それぞれの基準
最後に処分方法ごとの基準です。(規則第10条の5)
(1)処分を業として行う場合
廃棄物の種類 | 施設に係る基準 | 申請者の能力に係る基準 |
汚泥 | 脱水施設、乾燥施設、焼却施設その他の施設を有すること。 | ・産業廃棄物の処分を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。 ・産業廃棄物の処分を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。 |
廃油 | 油水分離施設、焼却施設その他の処理施設を有すること。 | |
廃酸又は廃アルカリ | 中和施設その他の施設を有すること。 | |
廃プラスチック類 | 破砕施設、切断施設、溶融施設、焼却施設その他の処理施設を有すること。 | |
ゴムくず | 破砕施設、切断施設、焼却施設その他の処理施設を有すること。 | |
その他の産業廃棄物 | 処分に適する処理施設を有すること。 |
(2)埋め立て処分又は海洋投入処分を業として行う場合
処理方法 | 施設に係る基準 | 申請者の能力に係る基準 |
埋立処分 | 最終処分及びブルドーザーその他の施設を有すること。 | ・産業廃棄物の処分を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。 ・産業廃棄物の処分を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。 |
海洋投入処分 | 自動航行記録装置を装備した運搬船を有すること。 |
さらに最終処分に関しては、「一般廃棄物の最終処分及び産業廃棄物の最終処分に係る技術上の基準を定める省令」において細かな基準が定めれられています。
興味のある方は、ぜひ一度ご確認ください。(細かすぎて嫌になると思います。。。)
まとめ
今回は、産業廃棄物を処分する事業者が遵守すべき基準について説明しました。
処分業者の皆様は、この機会に法律の基準を見直していただけますと幸いです。
廃棄物処理処分業等の手続きでお困りの際は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。