建設業許可を取るための6つの要件|経営業務管理責任者・営業所技術者とは?

📋 この記事の目次
建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた6つの要件をすべて満たす必要があります。この記事では、特につまずきやすい「経営業務の管理責任者(経管)」と「専任技術者(専技)」を中心に、2020年から義務化された「社会保険への加入」も含め、各要件をわかりやすく解説します。
- 建設業許可に必要な6つの要件の内容
- 経営業務の管理責任者・専任技術者の具体的な条件
- 社会保険加入が許可要件になった背景と対象保険
- 要件を満たせない場合の対処法
1. 建設業許可の取得に必要な「6つの要件」とは
建設業法第7条・第15条により、建設業許可を受けるには以下の6つの要件をすべて満たさなければなりません。1つでも欠けると許可は取得できません。
| 番号 | 要件 | 概要 |
|---|---|---|
| ① | 経営業務の管理責任者 | 一定の経営経験を持つ人物が常勤していること |
| ② | 営業所技術者 | 資格や実務経験を持つ技術者が営業所ごとに常勤していること |
| ③ | 財産的基礎・金銭的信用 | 一定の財産的基盤があること(自己資本500万円以上など) |
| ④ | 誠実性 | 請負契約に対して誠実に履行すること |
| ⑤ | 欠格要件に非該当 | 法律上の欠格事由に該当しないこと |
| ⑥ | 社会保険への加入 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険に適切に加入していること |
以下では各要件を詳しく解説します。
2. 要件① 経営業務の管理責任者(経管)
経営業務の管理責任者とは?
「経営業務の管理責任者(経管)」とは、建設業の経営について一定の経験を持つ人物のことです。会社であれば常勤の役員、個人事業主であれば事業主本人がこれに該当します。
建設業は専門性が高く、経営者に十分な経験がなければ適切な施工管理や資金繰りができないため、この要件が設けられています。
経管になるための条件
| パターン | 必要な経験 |
|---|---|
| パターンA | 建設業を営む会社の役員・個人事業主として5年以上の経験 |
| パターンB | 建設業を営む会社の役員・個人事業主として6年以上の経験(許可を受けていない建設業でも可) |
| パターンC | 建設業の役員経験が2年以上+役員に準ずる地位での経験が通算5年以上 |
- 経管は常勤である必要があります(他社との兼務は原則不可)
- 経験を証明するために、確定申告書・契約書・請求書などの書類が必要です
- 2020年の改正で要件が緩和され、「建設業に関する経営体制」を整えることでも認められるようになりました
3. 要件② 営業所技術者(専任技術者)
営業所技術者(専任技術者)とは?
「営業所技術者(専任技術者)」とは、営業所ごとに常勤で配置しなければならない技術者のことです。建設工事の適正な施工を技術面から担保するために設けられた要件です。
許可を受けようとする業種ごとに、その業種に対応した専任技術者が必要です。
営業所技術者(専任技術者)になるための条件
営業所技術者(専任技術者)の要件は、「一般建設業」と「特定建設業」で異なります。
■ 一般建設業の場合
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| ①国家資格 | 業種に対応した国家資格を保有していること |
| ②実務経験 | 高校の指定学科卒業後5年以上、大学・高専の指定学科卒業後3年以上の実務経験 |
| ③実務経験(学歴不問) | 学歴・資格を問わず10年以上の実務経験 |
■ 特定建設業の場合
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| ①1級国家資格 | 1級の施工管理技士・建築士など、業種に対応した1級資格を保有 |
| ②一般建設業の専技+実務経験 | 一般建設業の専任技術者の要件を満たし、かつ元請として4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的実務経験を有すること |
業種別・主な対応資格の例
| 業種 | 対応する主な資格 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1級・2級建築士、1級・2級建築施工管理技士 |
| 土木一式工事 | 1級・2級土木施工管理技士、技術士(建設部門) |
| 電気工事 | 1級・2級電気工事施工管理技士、第1種・第2種電気工事士 |
| 管工事 | 1級・2級管工事施工管理技士、給水装置工事主任技術者 |
| 内装仕上工事 | 1級・2級建築施工管理技士、室内装飾士など |
- 営業所技術者(専任技術者)は営業所ごとに必要です(複数営業所がある場合は各所に配置)
- 工事現場の「主任技術者」「監理技術者」との兼務は原則できません
- 実務経験を証明するには、契約書・請求書・通帳などの書類が必要です
4. 要件③ 財産的基礎・金銭的信用
建設工事は着工から完成・代金回収まで時間がかかるため、一定の財産的基盤が求められます。一般建設業と特定建設業で基準が異なります。
■ 一般建設業の場合(以下のいずれかを満たすこと)
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 自己資本 | 500万円以上であること |
| 預貯金残高証明 | 500万円以上の資金調達能力があること(残高証明書で証明) |
| 直前5年間の許可実績 | 許可を受けて継続して営業してきた実績がある場合 |
■ 特定建設業の場合(すべてを満たすこと)
| 条件 | 基準 |
|---|---|
| 欠損の比率 | 資本金の20%を超える欠損額がないこと |
| 流動比率 | 75%以上であること |
| 資本金 | 2,000万円以上であること |
| 純資産合計 | 4,000万円以上であること |
5. 要件④ 誠実性
請負契約の締結・履行にあたって、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
具体的には、以下のような行為がないことが条件です。
- 請負契約書の内容に違反する行為
- 工事の手抜きや粗雑工事
- 工事代金の不正な請求
- 下請業者へのいじめや不当な値引き要求
この要件は申請者本人だけでなく、法人の役員・支配人なども対象となります。
6. 要件⑤ 欠格要件に該当しないこと
建設業法第8条に定められた欠格要件に該当する場合、許可を受けることができません。主な欠格要件は以下のとおりです。
- 破産者で復権を得ていない者
- 建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
- 建設業法・建築基準法・労働基準法などに違反して罰金刑以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年を経過しない者
- 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者
法人の場合、役員のうち1人でも欠格要件に該当すると許可を受けることができません。申請前に全役員の確認が必要です。
7. 要件⑥ 社会保険への加入
社会保険加入が許可要件になった背景
2020年10月の建設業法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件として明確に位置づけられました。建設業界では長年にわたり、社会保険未加入の業者が多く存在し、労働者の保護が不十分な状態が問題視されてきました。この改正により、未加入業者は新規許可・更新ともに認められなくなっています。
加入が必要な3つの保険
| 保険の種類 | 加入対象 | 加入窓口 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 法人の場合は強制加入。個人事業主で従業員5人以上の場合も対象 | 年金事務所(協会けんぽ)または健康保険組合 |
| 厚生年金保険 | 法人の場合は強制加入。個人事業主で従業員5人以上の場合も対象 | 年金事務所 |
| 雇用保険 | 従業員を1人でも雇用している場合は原則加入義務あり | ハローワーク(公共職業安定所) |
個人事業主・一人親方の場合
個人事業主本人や一人親方は、健康保険・厚生年金の強制加入対象外となる場合があります。その場合は以下の保険への加入で要件を満たすことができます。
- 国民健康保険または建設国保(建設連合国民健康保険組合)への加入
- 国民年金への加入
- 従業員がいない場合は雇用保険の加入義務なし
- 健康保険・厚生年金:保険料の納付証明書または標準報酬決定通知書
- 雇用保険:労働保険概算・確定保険料申告書の控えなど
- 申請時に加入状況を証明できる書類を必ず準備しておきましょう
建設業に従事する一人親方や中小企業の従業員を対象とした「建設国保(建設連合国民健康保険組合)」に加入している場合も、健康保険の要件を満たすものとして認められます。保険料が協会けんぽより割安になるケースもあるため、検討する価値があります。
8. 経営管理者と営業所技術者は兼任できる?
「経営業務の管理責任者(経管)」と「営業所技術者(専任技術者)」は、同一人物が兼任することが可能です。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 同一の営業所に常勤していること
- 経営管理者・営業所管理者それぞれの要件を両方満たしていること
個人事業主や少人数の会社では、事業主本人が経管と専技を兼任するケースが多く見られます。資格と経営経験の両方を持っている場合は、1人で両方の要件を満たすことができます。
9. 要件を満たせない場合の対処法
経営管理者の要件を満たせない場合
- 経営経験を持つ人物を役員として迎え入れる
- 建設業の経験がある他社の役員経験者を雇用する
- まずは軽微な工事(許可不要)で実績を積み、経営経験年数を満たしてから申請する
営業所技術者の要件を満たせない場合
- 該当する国家資格を持つ技術者を採用する
- 資格を持つ社員に受験・取得を促す
- 10年の実務経験を積んで実務経験ルートで申請する
社会保険の要件を満たせない場合
- 法人または従業員5人以上の個人事業主は、速やかに年金事務所・ハローワークで手続きを行う
- 一人親方は建設国保・国民健康保険・国民年金への加入で要件を満たせる場合がある
- 加入手続きから証明書類の取得まで時間がかかるため、申請前に早めに準備する
建設業許可の要件判断は複雑で、都道府県によって運用が異なる場合があります。要件を満たせるかどうか判断に迷う場合は、建設業許可に詳しい行政書士に相談することをおすすめします。
まとめ
- 建設業許可には6つの要件(経管・営業所技術者・財産・誠実性・欠格非該当・社会保険加入)をすべて満たす必要がある
- 経営管理者は5年以上の建設業の経営経験が必要。常勤であることが条件
- 営業所技術者は国家資格または実務経験(最大10年)で要件を満たすことができる
- 特定建設業は一般建設業より財産的要件・営業所技術者の要件が厳しい
- 経営管理者と営業所技術者は同一人物が兼任することが可能
- 社会保険加入は2020年の法改正で許可要件に。健康保険・厚生年金・雇用保険の3つが対象
- 要件を満たせない場合は、資格取得・経験者の採用・保険加入手続き・行政書士への相談を検討しよう
相談・見積もりは無料です。

