建設業許可の「一般」と「特定」の違い|どちらを取るべきか判断基準を紹介

建設業の許可申請を検討するとき、多くの方が最初に直面するのが「一般建設業許可と特定建設業許可、どちらが必要か」という疑問です。
両者は名称こそ似ていますが、下請けに発注できる金額の上限・財産的基礎の要件・専任技術者の資格要件などに大きな違いがあります。誤って申請してしまうと、後から取り直す手間と費用が発生するため、事前にしっかり理解しておくことが重要です。
本記事では、一般と特定の違いを丁寧に整理しながら、あなたの会社がどちらを取得すべきかを判断するための具体的な基準をわかりやすく解説します。
📋 目次
- 建設業許可の基本|一般と特定とは?
- 一般建設業許可と特定建設業許可の違い一覧
- 財産的基礎・担保能力の要件
- 専任技術者の資格要件の違い
- どちらを取得すべきか|判断フロー
- よくある誤解・注意点
- まとめ
1. 建設業許可の基本|一般と特定とは?
建設業許可は、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に必要な国または都道府県の許可です。
※建設業許可に関して詳しく確認したい方は、前回の記事ご確認下さい。
この許可には大きく分けて「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があります。
2つの区分を分けるポイントは、ひと言でいうと「下請けに発注する金額の規模」です。発注者から直接工事を請け負う「元請」の立場で、一定額以上の工事を下請業者に発注するかどうかが、特定建設業許可が必要かどうかの核心的な判断基準になります。
発注者から直接請け負う工事1件につき、5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結するか否かで区分されます。
💡 ポイント
元請として発注者から直接請け負う工事1件につき、5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)を下請発注する場合は、特定建設業許可が必要です。
2. 一般建設業許可と特定建設業許可の違い一覧
まずは全体像を比較表で確認しましょう。
| 比較項目 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 下請発注の上限額(建築工事業) | 8,000万円未満 | 制限なし |
| 下請発注の上限額(その他) | 5,000万円未満 | 制限なし |
| 財産的基礎(自己資本) | 500万円以上 | 4,000万円以上 |
| 流動比率 | 不問 | 75%以上 |
| 欠損比率 | 不問 | 20%以下 |
| 専任技術者の資格 | 2級資格等(比較的緩やか) | 1級資格等(上位資格が必要) |
| 申請・更新の難易度 | 標準 | 要件が厳しい |
⚠️ 注意
下請として工事を請け負うだけ(元請にならない)場合は、工事金額がいくら高くても一般建設業許可で問題ありません。特定建設業許可が必要になるのは、あくまでも元請として下請に発注する場合に限られます。
3. 財産的基礎・担保能力の要件
特定建設業許可には、一般建設業許可よりも厳しい財産的要件が課されています。これは、大規模工事を元請として手がける企業が、下請業者への代金支払い能力を確保するためです。
一般建設業の財産要件
次のいずれかを満たすことが必要です。
- 自己資本が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の融資証明等)
新規設立の会社でも対応しやすい、比較的ゆるやかな要件です。
特定建設業の財産要件
以下のすべてを同時に満たす必要があります。
- 欠損比率が20%以下(繰越欠損金÷資本金×100)
- 流動比率が75%以上(流動資産÷流動負債×100)
- 資本金が2,000万円以上
- 自己資本が4,000万円以上
✅ チェックポイント
特定建設業の財産要件は、新規申請時だけでなく更新時にも確認されます。業績悪化等で要件を満たせなくなった場合、更新が認められないリスクがあるため、継続的な財務管理が重要です。
4. 専任技術者の資格要件の違い
建設業許可を取得・維持するためには、営業所ごとに「専任技術者」を配置することが義務付けられています。特定建設業許可では、この専任技術者に求められる資格・経験のレベルがより高くなります。
一般建設業の専任技術者
以下のいずれかに該当すれば問題ありません。
- 国家資格(2級施工管理技士など)を保有している
- 学歴+実務経験(高卒3年以上、または10年以上の実務経験)
特定建設業の専任技術者
一般よりも上位の要件が必要で、次のいずれかを満たす必要があります。
- 1級国家資格(1級土木施工管理技士、1級建築士など)を保有している
- 一般建設業の専任技術者に該当し、かつ元請として4,500万円以上の工事を2年以上指導監督した実務経験がある
- 国土交通大臣が認定した者
⚠️ 要注意
2級資格しか保有していない場合、特定建設業許可の専任技術者要件を満たせないケースがほとんどです。資格取得のスケジュールも含めて、許可取得の計画を立てましょう。
5. どちらを取得すべきか|判断フロー
ここからは、具体的にどちらの許可が必要かを判断するための手順を解説します。以下の3ステップで確認してみてください。
🔍 STEP 1|元請として仕事を受注することがありますか?
- 常に下請のみ → 一般建設業許可で十分です
- 元請として受注することがある → STEP 2へ
🔍 STEP 2|1件の工事で下請業者への発注総額を確認
- 建築工事業が4,500万円未満 / その他が3,000万円未満 → 一般建設業許可で問題なし
- 上記の金額以上になる → STEP 3へ
🔍 STEP 3|財産的要件・専任技術者要件を確認
- 要件をクリアできる → 特定建設業許可を申請しましょう
- 要件が不足している → まず一般許可を取得し、体制整備後に特定へ切り替えを検討
💡 実務上のアドバイス
「将来的に大型工事も受注したい」という場合でも、現時点で要件を満たせないならまず一般建設業許可を取得し、会社の体制を整えてから特定に切り替えるのが現実的な戦略です。一般から特定への変更申請も可能です。
6. よくある誤解・注意点
誤解①「特定の方が上位なので、最初から特定を取ればいい」
特定建設業許可は要件が非常に厳しく、財産的基礎・専任技術者ともにハードルが高い許可です。必要がないのに特定を取得しようとすると、申請が通らないか、維持管理のコストが増大します。自社のビジネスモデルに合わせて適切な許可を選ぶことが大切です。
誤解②「下請発注の金額は工事全体の金額で判断する」
特定建設業許可が必要かどうかを判断する下請発注額は、1件の工事における下請業者への発注総額です。工事の請負総額(元請の受注額)ではありません。複数の下請業者に分けて発注している場合は、その合計金額で判断します。
誤解③「特定建設業は全業種に必要」
特定建設業許可は業種ごとに取得するものです。例えば、土木工事業で特定許可が必要でも、建築工事業は一般許可でよい、というケースもあります。工種別に許可の必要性を確認することが重要です。
⚠️ 無許可営業に注意
特定建設業許可が必要な工事を一般建設業許可のみで請け負った場合、建設業法違反となり、営業停止・許可取消・罰則の対象になる可能性があります。必ず事前に確認しましょう。
7. まとめ
一般建設業許可と特定建設業許可の違いを整理すると、判断のポイントは次の3つに絞られます。
- 元請として下請発注をするかどうか(下請のみなら一般で十分)
- 下請発注額が閾値(5,000万円 or 8,000万円)を超えるかどうか
- 特定の財産要件・専任技術者要件を満たしているかどうか
許可の種別を誤ると、工事を受注できなくなったり、法律違反になったりするリスクがあります。不明な点は行政書士等の専門家に相談しながら、自社のビジネスに最適な許可取得を進めてください。
相談・見積もりは無料です。


